海から山へ

昨晩泊まったお宿は、時空が、何かが、不思議なお宿です。例えばホテルの方に質問しても、思ってみない回答が返ってきたり、大浴場は入っても入っても身体が温まらない。

朝食も一見豪華ですが、感激がないのが不思議です。

ロビーからは絶景が見えますが、今日もうず潮は見えません。

あの養殖しているものは何ですか?と尋ねたいけれど、係の方たちはあまり質問されたくなさそうなので聞けずに、じっと我慢します。それでも、外泊って何て楽しいんだろう。朝風呂も入って、準備万端で出発です!

TPスケジュールは今日も予定ビッチリ!まずはお宿から送迎車に乗って、大塚国際美術館へ。

(えっ、タイルで名画を再現した美術館だって?そんなところ行きたくない)(モザイクアートみたいなもんかしら)(観光バスがやってきては、ドドドッと人を吐き出して去って行く)

(こんなに集客力がある美術館って一体何なんだろう)

疑問に思いながら最初の部屋に入ってびっくり。バチカンだって!こんな絵ってあったかしら?

縄文式土器を再現したものを、実際に触ってみて、心底驚きました。ずっしりとした重さも再現し、色も後付けではないそう。縄文式土器を触ってみたら、本当に指で作っているのがよーーくわかりました。係の方にたっぷり質問をして、この美術館の意義が、実際に触ることができるもの、色を焼き付けているので数千年は色が変わらないこと、例えば災害でその絵が消滅しても、ここに来れば陶板に焼き付けた絵が見られること。

あたしゃ感動しちゃったね。実物を見られなかった最後の晩餐だって、修復前と修復後のビフォーアフターが見られちゃうし。

禁断の、モナリザにタッチしちゃったり。

ゴヤの部屋なんか、ペタペタ触りまくってその筆使いまで間近で眺められることに。

TPが、プラド美術館で一番感動したというゴヤの絵。

タイルで名画を再現?行きたくないねなどと、小馬鹿にしていた自分をビンタしてやりたい。バスに乗って鳴門駅へ。電車に乗って徳島駅に戻ります。

TP、何から何まで調べてくれてありがとう。J便で棒ラーメンを送ってもらって感激した徳島ラーメンを、いざ実食です!優しいのに、しっかりとした味。何より、地元のお客さんたちがみんな、食堂に入って来た瞬間から笑顔で、提供されるのを心待ちにしているその光景の美しさ。

TP予定は特に今回は、ギュウギュウです。これからレンタカーを借りて移動するらしい。

たかだかETCカードをセットするだけでも、裏表が違っていてアタフタしたりします。高速道路を使って、約2時間?とにかく山が深く眼前にそそり立つように、谷が深く転げ落ちそうな道を車は進んで、今日のお宿に到着しました。

最高やん!大喜びします。

最高じゃないの!

何て空気が美味しいんだろう。TPいわく「ここ最近、旅程を決めるときにさ、海、山、県庁所在地の3つを入れるようにしとう」とか鼻をふくらませて語っちゃったりしています。

宿のお婆さんおすすめの、びわの滝へ。空気がおいしい!

岩肌!

貸し切りの共同風呂に行くためのカゴまで用意してある。

たっぷりのお湯、熱々で身体が心底、温まります。

最高じゃないの。晩ごはんはどれも手作りで、水がおいしいからかお豆腐も、こんにゃくも、川魚もおいしい。なかなか人気のお宿で、フランス語を話している女性ふたりと、ひとり旅の男性と、他にも数組滞在しているようですが、改装したての旅館は、どこまでも静かで、TPの筆もはかどり、私の入力作業もはかどります。もし眠れなかったらと不安になって注文した焼酎は、大きいコップに波々と、全部は飲みきれませんでした。夜中、共同のトイレに行って、喫煙所で一服していると、驚くような満月が出ていました。ここは徳島。徳島です。秩父じゃないぞ。