戻って来たい

右足首の負傷者が出たので、今日はホテル探しはなし。連泊です。亀の速度でまずは地下鉄の松江南京路駅に向かいます。台北で何度も見かけたMr.ブラウンコーヒー、ブラックコーヒー110元、薄い。台北101駅に上がるとカッと日差しが照りつけていました。右足首の負傷者がいるので、TPだけがすぐ近くの映画館に偵察に行きます。炎天下。負傷者は小さな木陰に入って、地元の氣功軍団のすぐそばで右足首にひたすら手を当てて、よくなれ〜と念じます。映画館は遠かったよう。40分後にTPは戻ってきました。

何と!最初の方に小龍包を食べた店「鼎泰豊」が台北101の地下にもありました。早く上に上がりたいTPと、だるま和尚のように動かない作戦のあたし。25分待ってようやく席について、小龍包だけを3種頼みます。これまで小龍包にそれほど興味がなかったのに、今では全く別のものに思える、小龍包だけでお腹を満たしたいと思う人間に変身したのかな?パンチがある味じゃなく、ひとつ食べるともうひとつ、ふたつと目を閉じて味わい、思い返し、そしてまた食べたくてたまらなくなる。世界第3位の高さの101ビル、入場料500元。世界第1位の早さというエレベーターで上がると景色はもやがかかっていました。写真を撮ろうとすると見知らぬ小さな男の子が入ってきてポーズを取るので驚きます。

ベンチに座ってさあ次はどこに行く?と午後の計画会議。TPは淡水に行きたいけど負傷者が心配と言うので大丈夫よ、思い切って行ってみようよと足をひきずりながらまた地下鉄に乗りました。30分。地下鉄はやがて地上に出て、川沿いを北に北に向かいます。ちょうど良い低い木がちょうどよく川に沿って続いている景色を眺めながら。ガイドブックにはマングローブとありました。

地下鉄の終点、淡水駅に降りるとユニクロがありました。今回の旅行で驚異的な活躍をした長袖黒Tシャツ、洗いやすく乾きやすい、そしてデロデロになりにくいTシャツを、日が傾いて寒くなったので買い足して重ね着してみたところちょうどよい快適さ。今後の洋服計画に光が差したよう、薄手のオフホワイトパーカーと合わせて1000元。

夕暮れの淡水は、思い切って来てよかった、手に届く極楽のような開放感と穏やかな賑やかさ。露店や商店街が立ち並び、どーんと大胆に広い芝生があって。対岸への往復渡し船45元×2。TPのソフトクリーム15元。私のグアバ50元。揚げししゃも5匹50元。ししゃもは尾っぽまで子が入ってぷりぷり、夢に見そうな美味しさです。商店街で豆花を食べて、地下鉄に乗って中心地に戻ります。もう一度だけお茶をしたいと徳也茶喫で頼んだお茶付き定食は、全ての料理がぬるかった。そしてタロイモのお菓子はのどが喜ぶほど美味しかった。


ホテルまでの帰り道、通りがかったお茶屋さんで、勤め先の女性たち、友人たちへのお土産にお茶を選びました。試飲した、店の裏で蒸したばかりという春茶の爽やかなこと!人が2人は入りそうなカゴにぎっしりの凍頂烏龍茶、カゴを触るとまだホカホカです。東青谷茶荘産業のおじさんは、50グラムからしか売れないと言うけれど、私は女性たちの名前を書いたノートを見せながら、職場だけでもこれだけの人数がいるんです、予算と大きさと考えたら20グラムくらいじゃないと持って帰れないんですと言うと、奥から弟やら高校生の息子やらを呼んで、手分けして冷まして、計って、真空パックにしてくれました。店のおじさんは紙に「父90才、日本高等科。兄、日本神戸大学博士 台中法院 法官」と書きます。日本語をべんきょうしたという息子を指して「高中三年級 今年7月考大学 大学→日文系」と書く。息子は台湾鉄道に詳しく、車両と運行システムの会社、年代まで全部教えてくれるのでメモをとるのに必死になります。花蓮から先は1980年までイギリス車両、今はイタリアと南アフリカ(UCW)だそう。このおじさんたちに会うためだけにでも、また台湾に戻って来たい。お茶屋さんで長々とお喋りしている間、TPは繁華街を偵察に歩き回っていました。夜は更けていつの間にか右足首の負傷を忘れています。