行ってきまーすと誰もいない部屋に声をかけて玄関を出ると、ふっと嫌な感じの氣配。見上げるとスズメバチの巣がっ！ひっ！と声をあげて、ちょっと落ち込みます。この形、この色。氣色悪い。このアパートに入ってすぐ、同じようにスズメバチの巣ができたのを見つけたことはありますが、始めはランプシェードか何かだと思いました。よくよく眺めて、ネットで検索してようやくスズメバチの巣だとわかったっけ。仕事を終えてから、区役所に電話して駆除をお願いします。立ち会いが必要、そしてアパートの住人にも刺激しないよう伝えて下さいとのこと。責任重大です＝３
帰りの電車を待っていると、ホームに大きな声の男性がいました。いきなりスマホを片手に「え？常務？どこの。大林組？日大商学部？仕事？行けないな。オレ今、野村ビルの４３階ですよ、一流は行けない。オレの日給３万５千円だから。二流なら行かせられるけど。事務所で若い声の女？それは女房、ちょうこって言って２０才年下なんだよ」芝居がかった会話、周りの人は聞きたくないのか誰もが眉毛をハの字に寄せていました。しばらくして電車に乗り込むと、同じ男性がスマホを操作してピーッと音を出した後で、「え？常務？どこの。大林組？日大商学部？仕事なら断って」とそっくりな会話がまた始まって。この小芝居は一日何回ほど発表されているのでしょうか。その先を知りたくて電車を乗り過ごそうかとも思いましたが、グッとガマンして到着の駅で降りました。
区役所の人いわく「スズメバチってのは特徴的な形なんです。壷みたいで、えぇ、穴がひとつ。じゃあスズメバチですね。本当はもう業務時間外なんですけど、業者に連絡を取ってみます。本当はもう業務時間外、５時１５分までなんで。ちょっと過ぎていますから連絡が付くかどうかわかりませんけど電話してみますね、業務時間外ですけど」業務時間外の人に無理はさせないよう、あくまでも感じよく、そう自分に言い聞かせて住所と連絡先を伝えて、電話を切りました。
