臨機応変

朝の5時半出発、吉野家で朝食。カウンターに突っ伏して寝ていた酔っぱらいの人が倒したグラスが床に落ちて割れて、水滴が足に飛んできたのを心配した店の人が、大丈夫ですか?と言うので大丈夫ですと言ったのに、氣を利かせて100円サービスしてくれました。いいことありそう!

青春18きっぷを買って、いそいそと電車に乗りこみます。今回の目的地は福島県の大内宿だそう。テレビで観て、前から行きたいと思っていたところだったので、飛び上がって喜びます。乗り換えて2時間ほどすると、「終点、籠原」とアナウンスで呆然と電車を降ります。あら?茨城方面に行くはずだったのに、ここはどこ?と路線図を見ると、90度は違う方向に進んで来たみたい。わ、失敗した!大宮で乗り換えるとき、TPが「電車が来たよ!」と急かして飛び乗ったせいだ、イヒヒと指摘してみます。

ひとまず大きい駅へ行きましょう、高崎駅へ。ポケットサイズの時刻表を買って、タリーズへ。これから、どうする?


駅前にあったポスターを頼りに、高崎市美術館へ。ウィリアム・ブレイクと神の世界。誰だっけ?開館を待って入場します。ひとり500円。もう一組、家族連れの高校生くらいのお嬢さんが熱心に見入っています。聖書の世界を描きなおしたウィリアムさん、私もじっくりと見入って、文章を読み込みます。中でも、ヨブ記がこういう物語だとは知らなかった、戻ったら絶対に本を買って読み直そう、そう固く誓います。展示は工夫してあって、最後は神話や聖書に影響を受けた漫画も展示されていました。

館内の敷地には、移築された井上房一郎さんの自宅もありました。さ、これからどうする?

オープン前の交番、初めて見た。電車に乗ってTPが行きたいと言う渋川へ。だだっ広い土地。TPが行きたいと言う沼田への電車が1時間に1本しか無いので、駅前の和食ファミレスで昼ごはんを飲むように食べます。沼田は、暑い。汗だらだらで溶けそうになりながら沼田城跡へ。




へ?ここが真田家の!大河ドラマで見ていたはずなのにその城の名前を忘れていたので、あらためて感激します。この城は、いい城。確かに責められづらいだろう。本丸跡にはなぜか、皮膚病の熊がいました。可哀想で泣きそうになります。



また電車に乗ってTPが行きたいと言う水上温泉へ。駅に着いた瞬間に、来たことある!と笑い合います。でももういい。駅前の案内所で空いている旅館を尋ねて、一番安いところに決めます。ひとり5500円。歯が一本しかないおじいさんが迎えにきてくれました。偶然同じ旅館を予約していた、別のおじいさんも一緒に乗ってヒヤヒヤドライブ。着いたところは案内所の人が「随分古いですので・・・ご想像ください」と言っていたとおり、床が抜けそうな宿、でも私はここでいいんだ!アジアを旅行した分、強くなったんだ!「門ちゃんがこんな感じで素泊まりOKなら、幅が広がるね」などと、寝転んだ瞬間に虫に刺されて痒い痒いと言っているTPもテンション低く喜んでいます。


  

案内所の人がもうひとつ教えてくれたこと「あそこは、お湯だけはいいらしいですよ」とのこと、それは本当だと、貸切状態のお湯に浸かった瞬間にわかりました。柔らかいお湯、源泉かけ流し。あ〜、しあわせ!日が沈んでから人氣だと言うピザ屋で焼き立てピザを食べて(人生で一番おいしかった)、地元の人が行くというスーパーマーケットを覗いて見たことない商品に感激して、寝る前にもう一度温泉に入って、おそらくシーツを替えていないだろう布団に入ります。

夜の11時、受付からの電話で、宿代を支払います。何でこんな時間に!?とも思わずに、歯が一本しか無いおじいさんに支払いを済ませて、強くなった自分を抱きしめるように、ぐっすりと眠り込みます。まさかの、みなかみだって。