吹き溜まり


TPがATMで通帳記入をしている間、ビルの工事現場を観察していると、クレーンの吊具の色があまりにも鮮やかなショッキングピンクで、目がくらみそうになります。写真に映らないほどの、突き刺さるほどのショッキングピンク。ATMから出てきたTPに、あの色!と見せると「ショッピングピンク?」と言うので、そう、と答えます。訂正せずに。


今日もTPとお休みが重なって、ヒルトンホテルの地下へ行ってみます。ここは私が免許更新のときに見つけた場所、ひとが少くてとってもいい感じなのです。どこもかしこも上品で。都庁のお氣に入り本屋で本を2冊買って、ヒルトンホテルの地下のインド料理屋さんでカレーを食べます。すてきなレストラン!食べ放題なのでうんと食べてみます。


食べ終わって、ヒルトンホテル地下の安いコーヒーショップでコーヒーを飲みながら、さあこれからどうする?などと話します。平日にしか行けない場所・・・裁判だ!

X線検査を抜けて、タッチパネルで今日の裁判をチェックしてノートにつけます。裁判傍聴はまだ2回めなのに、すっかり慣れた態度で。1件目は覚醒剤。粉をどうにかするためチラシを山折りにしたであろうものの使いみちを尋ねられた被告は、犬に薬をやるのに、喉の奥まで入れるために用意していたものと答えています。粉を軽量するためだと検察側が考えているハカリの使いみちは、犬にやる餌をはかるためのものと答える被告、プッと吹き出す検察。

2件目は詐欺。高校を卒業した後アルバイトで食いつなぎ、マンガ喫茶で寝泊まりしている被告は、上野の東照宮で静岡から上京した母娘に声をかけ、建築物の説明をして自分を新潟の大学教授だと偽り、ランチをして東大の赤門まで案内した後で、実は昨日カバンを盗まれて一銭もないから新潟までの交通費を貸してと頼んだところ、母娘はすっかり彼を有名人だと思い込み、写真まで撮ってもらったので2万円を貸してしまったとのこと。「これが自分のなりわいだと思っている」そうで、再犯につぐ再犯、他にも余罪があるそう。

3件目は暴行。傍聴席に入る直前、私に「◯◯さんですか?(被告の名字)」と聞いたおっちょこちょいなおじさんが検察側に立っているので驚きます。不動産業を営む被告は、同じ敷地に住む妹に日頃からビデオカメラで撮影されていることに腹を立て、その日も撮影を止めない妹に庭のホースで水をかけたそう。弁護士軍団が3人もついて、起訴されること自体がおかしい、証人もいるのに出廷させないなんて検察の怠慢だと強氣な姿勢。被告と原告兄妹の、家族だと思われたんだ、あたしは。

4件目は詐欺。アダルトビデオに出演した女性を紹介するからと、会社員Bさんからデポジット金として12万円を受け取った被告は、彼の身分証をコピーさせていたので会社にバラすぞと脅して、さらに数十万円を脅して受け取ったそう。被告はいかにもチンピラで目つきも鋭く、誰のことも信じていないような悲しい表情。

裁判官も、傍聴人も、被告も原告も検察も弁護人も、みんなが紙一重の世界で生きているんだと感じるのが不思議。吹き溜まりのような場所が東京の中心地にあるんだなー。不思議不思議。

夜空はいつでも最高密度の青色だ。どこかの中からこんにちは、みたいな映画を撮った監督の映画をDVDで観ます。石橋凌の娘があまりにも石橋凌に似ていて、立ち姿が可愛い。早く抱きついちゃえ!と思いながら観た映画は、主人公ふたりが触れることが無いってところがミソってところがちょっと嫌でした。素朴な映画。買い物をしていなかったので晩ごはんは玉子丼です。