お父さんを忘れて

母が「お姉ちゃん、散歩行く?」と起こしに来たので、すぐに着替えて出発します。「ほら、あのおじいさん」母が毎朝すれ違うという、トトトトッと歩く黄色いジャンパーの老人、毎朝歩いているということを尊敬します。

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「ほら、あの老婆2人組もいっつも一緒。姉妹やろか」母は、100メートル先のコンビニもバイクで行くくらいの歩かなさでしたが、こうして自分で目標を見つけて毎朝歩いていると思うと、全力で応援したくなります。

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「ちがう!そっちじゃない」川沿いに降りる場所も決まっているようですが、そんなの知らねー。

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家に帰って、喪服らしき黒めの服に着替えて、父の親友夫婦、京都の伯父を駅で拾って、弟一家と二手に分かれて出発!四十九日法要ツアーへようこそ!

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まずは、父のノート「うまいものリスト」のトップにも記載されている「マルタ」へ。店のおじさんが激ヤセしていて、弟が尋ねると身体壊してしばらく店も休んでいたとのこと。

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イカ刺し!「ゲソが吸い付く」と皆大喜び。もう何年も前にTPと帰省したときにも、父はこの店に連れて来てくれました。

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ゲソの天ぷら。ここは天国?

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サバの刺身…最高過ぎて、一瞬ここで働こうかと思ったほどに。

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皆さん、父もきっと喜んでいると思います。お店の方も涙ぐんで偲んでくださいました。

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法要のお寺へ。弟のおねしょが小学校5年生まで止まらなかったものだから、母はお茶断ちし、私も一緒にお百度を踏んだら、その日からピタッと止まって。それ以来信頼しているお寺。

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「あー、いい氣持ち」

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応接間でお茶をいただこうとすると母が「あっ!お父さん忘れた!お骨、置いてきた!」と大騒ぎしています。

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周りは、でしょうね、そうでしょうねと驚きもせず笑うだけ。ただ空っぽの仏壇だけ拝んでもらって、納骨も今日はできないようです。お坊さんは、母と私がお百度踏んだときにはまだ生まれていなかったお孫さん、いい声でしっかりとしたお経を上げてくれます。涙がスーッスーッ、スーッと流れ続けます。

 

父の親友「寂しくなった」と言ってくれ、帰りの車で、あれこれお喋りします。「お父さん、◯◯さん(私の名前)が最期、ずっと側におって、幸せやったと思うよ。幸せオーラ満点やったもん」こちらこそ、おじちゃんたちと食べさせたカステラと牛乳が、ほぼ最期の食事やったな。そうか、もう父はいないのか、とつぶやきたくなる氣持ち、わかる。

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途中の駅で京都の伯父を見送って、家に送ってもらうと、弟夫婦は渋滞に巻き込まれて家の鍵がありません。雨。傘も無い。近所の喫茶店に、外にあったメダカ用の洗面器をそれぞれ被って行こうと言うと母大笑い。「あーははっ、もうやめて。おしっこもれる」洗面器はかぶらず、小雨に濡れながら喫茶店へ。おいしいコーヒーを飲める幸せ。

 

やがて弟が車で迎えに来てくれて。夕方、弟夫婦と美香ちゃんの勤務する家具屋へ。また会った瞬間に女子高生に一瞬で戻って、手を取り合ってピョンピョン飛んでしまうし泣いてしまう。弟妻のKさんも嬉しそうに笑ってくれます。弟たちは新築の家に入れる家具について、美香ちゃんが紹介してくれた、とても感じの良い営業マンと念入りに選んでいます。美香ちゃんに会えて嬉しかった。私は風呂用のイスを買って帰ります。また会おうね、お互いがんばろうね!

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晩ごはんは、天ぷらのひらお。博多天ぷらブームの火付け役?安くてうまい。モリモリ食べます。そして、明後日は急遽、再度お寺に行って納骨をせねばならなくなったので、大分に電話して、急だけれど明日、お父さんのお見舞いがてら伺っていいか聞いて、喜んでもらえて。まだ父の骨は実家にある。父も笑っていることでしょう。