母が「こうして二人で泊まるの、久しぶりやね」と言います。私もそう思っていました。朝6時、大浴場へ。
風呂上がりに朝日が差してきました。
弟が「11時からステーキ屋を予約しとうけん、腹いっぱい食べないように」と言われていてもつい腹いっぱい食べる朝食。
9時にチェックアウト。その前に喫煙所で一服。あ、お父さん。母が「ちょうど良かろ?」というサイズのエコバッグに入ったお父さんの骨と一緒に一服します。「お父さんと一服するのも、久しぶりやね」
夕べ、素晴らしいチーズフォンデュを食べた店、ペニー・レインで弟一家オススメというパンを買って。
甥っ子がどうしても行きたいという電車の博物館?みたいなところに、弟と甥っ子だけ入って、弟妻と私と母は荷物を整理したり、ちらっと散歩したりして、ただ何もない時間を過ごします。
父も前に来たことがあるという那須、母が父と散歩したというお地蔵さんあたりをウロウロして。
「和牛」祖母の納骨の際、弟一家と伯父伯母両親で来たというステーキ屋さんへ。私はマラソン大会があって来られなかったっけ。
皆がとても美味しかったと言っていたので来られてうれしい。
ふう。カトラリーも皿も美しく、前菜のベーコンの美味しいこと!
ポテトサラダも完璧!
甥っ子は、ハンバーグ。
大人はヒレステーキ。神々しいほどに美しく、野性的に肉肉しい、まるで芸術品のよう。
ステーキを食べ終えると、同じ鉄板でガーリックライスを出してくれます。弟一家は転勤を終えて福岡に戻るので、もう次はいつ来られるかと感慨深げです。私は「TPと来たら絶対にペニー・レインと和牛には来よう」と心に決めワクワクしきりです。
車に乗って、宮城県へ。
約3時間の道のり。甥っ子は母(甥っ子にとっては祖母)のおっぱいをもんだりしています。「この子も女好きになるんやないやろうか」母も眠って、誰も相手してくれなくなると私に「遊びたいな」と話しかけてくるので、足の指で巾着袋を引っ張り合って綱引きで遊んでやりますが、やがて皆爆睡。途中休憩のサービスエリア。赤べこ模様のついた、ペットボトルオープナーを母に買ったところ、弟が「これ買ってやった」とポケットから同じものを見せるので「嘘、私も同じもの買った」と見せて、弟妻ちゃんは「すっごい、たまたまですか?同じものを?すっごい、さすが兄弟」と驚いてくれて私の買った方は返品(もうひとつ大分のTPママに買ったので今度送ろう)、ペットボトルって、めっちゃ固いのがありますよね?
ああ、松島や松島や。今日は母とふたりだけで宿泊です。弟一家は甥っ子の行事があって家に帰ります。色々ありがとうねと分かれて。
ちょっと高級な感じの宿を手配してくれていました。
ウェルカムドリンクが生ビールとは!
部屋の窓からは、牡蠣小屋と松島の海が見えます。
最上階の展望風呂に入って、
大浴場にも入って。ついつい、父の思い出話しばっかりしちゃうし、あの坊さんすごかったねとか話しちゃう。
晩ごはん。前菜がどれも甘辛煮味でしょっぱいと思っていたところ、そこからの料理がすさまじく、刺盛り、
焼き牡蠣、
あんこう鍋、どれも父が好きなもので、父と母と3人で旅行しているような錯覚。
喫煙所から見上げる空には、満月。お父さん、お骨は入れられんやったけど、ま、いいね。坊主と喧嘩してごめん。笑ってくれていたらいいけど。何と言っても今日は「鎌倉殿の13人」があるので楽しみ。母はドラマが始まった途端に眠ってしまって、終わったら起きて「お風呂行く?」と言います。眠る前にもうひとっ風呂浴びて。「考えてみたらさ、お父さんとあちこち行ったもんね、思い出いっぱいあるもんね」と母が言い、私は「そうよ、そうよ」と答えます。「それもこれも、あなたの趣味でね。お父さんは旅行好きでも温泉好きでもなかったのに、あなたが連れ回しただけだけどね」とは言わずに、家でじっとしていられない母の人生と、それに振り回された父の人生を偲んだりしてみました。父は、私たちが楽しそうにしていると楽しそうにしていたから、喜んでくれているだろうと確信しながら。