じぇじぇじぇっ!

夜行バスに乗ってグウグウ眠っていると、TPからトントンと肩を叩かれて起こされて、朝の6時、盛岡駅でゾロゾロと半分、降ろされます。バスはこのまま青森に行くらしい。バス会社の社員らしき方に「東口のバス停って、どこですかね?」と尋ねると「あそこの通路さまっすぐ行って、下さ降りて、右に曲がったとこ」と教えてくれます。

盛岡駅に到着したばかりだと言うのに、またバスに2時間乗って、久慈駅に移動するそうです。(駅のトイレの張り紙、トイレットペーパーの芯を抜き取られる事象って、何のために?)

久慈行きのバスのわずかな待ち時間に、TPは走ってコンビニでおむすび弁当を買ってきてくれました。「ありがてー」食べて、またグウグウ眠って、起きたら久慈駅でした。

じぇじぇじぇっ!潮騒のメモリーズの看板がまだあるじぇ!

久慈駅からは、またバスに乗ってあまちゃんのロケ地へ行くそう。少し時間があるので、駅の裏側に回って、スーパーマーケットを覗いてみます。じぇじぇじぇっ、すき昆布って何だ?

じぇじぇじぇっ!お塩が5キロ単位で売られてるじぇ!

 

そんなことよりもTPが、電話で予約してくれた久慈駅のウニ丼、念のためお店のひとに確認してみたところ、予約が入っていないようで「携帯番号、何番で予約されました?」「いえ、携帯を持っていないので自宅の電話番号で予約を」チッ。舌打ち?「予約を受け付けたのは女性でした?」「はい」チッ。「じゃあ、とりあえず2個は用意しときますんで、携帯番号を教えてもらえますか、あ、チッ、電話がないのか、じゃあ名前だげ」あぶなかったー、リアス亭のウニ丼、予約したのに食べられないかも知れなかったーあぶね。

やがてバスが来て、交通系ICカードのシステムが不具合があるのか運転手さんが何度か立ち上げ直してようやくバスは走り出します。バスは住宅街を抜けて、海岸沿いへ。終点の小袖海岸に到着する頃には、バスの中に「あまちゃん」のテーマ曲が流れます。パラッパッパッパ パッパパラララ ティロリンティロリンティロリンティロリン」

海女センターで、500円の見学料を払って、11時からの素潜り実演を見学します。

この仕事を初めて9年目という海女さん、いえ、海女ちゃんたちふたりが、とぷっと潜って、

両手いっぱいにウニを持って水面に上がってきます。ひとが、透明な海に深く潜って行くところで、グーッと感動します。5〜60人ほどの見学者たち、海女ちゃんたちがウニを抱えて上がってくるたびに、拍手をします。後ろの方でおじさんの声「ちょっと出来過ぎだ」

ウニを、手の上に乗せてくれるサービス!最初は子供、私はすぐに列に並んで大人でも乗せてもらえて大満足、TPも乗せてほしそうなのに、他のひとに割り込みされてなかなか乗せてもらえませんでしたが、最後には乗せてもらってホッと一安心です。針一本一本が、モゾモゾと動いて何とも言えない感覚です。

あっと思って振り返ると、長蛇の列が。どうやら、取ったばかりのウニを、その場で開いて1つ600円〜1000円で刺身にして食べることができるようなのです。慌てて列に並びます。

列に並んでいる間にも、海女ちゃんが、ウニの吸引力がどれほど強いか触らせて、教えてくれます。しっかりと張り付いて動きません。「この吸盤を、このカマで引き剥がすんです」

目の前で、ひとつ1000円のウニ(大)が売り切れとなり、800円(中)を買って、その場で食べます。うんめーーーー!海水の味だけで、とろっと、旨味が凝縮していて、うまいったらない。TPとひとりひとウニ、殻を舐めたいほどにおいしい。

海女センターの屋上に上がります。何と透明な海。

またバスに乗って、久慈駅に戻ります。(地元の保育園生が飾り付けた七夕飾り)

リアス亭で、ウニ丼を受け取る。ドキドキ。

ホッ、ウニ丼ゲットだじぇ!駅内のベンチに座って、ぜいたくな量のウニを、ゆっくりと噛み締めて、大事に味わいます。

今日の宿泊先は、宮古という街らしい。リアス線の宮古行き列車の出発まで、1時間ほどあるらしいので、少し歩いて、道の駅へ行ってみます。

水木洋子さん。。。ラジオドラマを聞いてみたい。

道の駅は豆腐も安い。

むつも、アジも、安い。道の駅はエアコン温度の設定が高め。汗がダラダラ出ます。

道の駅の2階の写真コーナーで、さっき行ったばかりの海女センターが、震災で壊滅していたことを知ります。

道の駅から久慈駅に歩いて戻る道、小高いところに神社が見えたので立ち寄ります。巽山稲荷神社。旅の無事を、祈ります。

汗をかきかき、展望台に上がります。遠くに、海も、リアス線の列車も見えます。

歩いて久慈駅に戻り、なぜかさかなクンのアナウンスで駅前の噴水が始まります。ギョギョギョッ!

いつもは一両編成だというリアス線、今日は団体さんが乗るということで二両編成だそう。

崖の上を走ったかと思うと、海沿いも走る。海沿いはことごとく防波堤。

まるで、あまちゃんのドラマのように、いくつものトンネル、短いトンネル、長いトンネルを抜けて、海、山、海、トンネルと続いて、

終点の宮古駅に到着しました。TPの計画表では、これから浄土ヶ浜というところへ行くらしい。バスの本数が少ないので、行きはタクシーに乗ります。

午後16時。タクシーの運転手さんは寡黙。約2000円で、海岸に着きました。

浄土ヶ浜

石は白く、手に取ると石灰のように真っ白くなります。

浄土ヶ浜。その名の通り、極楽浄土のような平和さ、というより私、死んだのかな?という静けさ。誰もが海岸に座って、足を投げ出して、ゆったりとくつろいでいます。中にはスマホを石に立てかけて、ずっと生配信?をしているひとも居ます。(誰が見るんだろう?投げ銭目的?)

帰りのバスの時間が近づいたので、レストハウスに寄ります。ここも、大震災の被害が。

ロッテの佐々木朗希くんが子どもの頃から好きだったという「酢の素」、買いたかったけれど売り切れでした。

宮古駅に戻るバスは、乗り換えがありました。ひとつめはビジターセンターまでの無料バス、寺田心くんかと思うような若い男の子がバスガイドを務め「ウミネコとカモメの見分け方はご存知ですか?」とせっかくクイズを出してくれているのに、全部答えてしまうおじさんが。それはそれで盛り上がります。(ウミネコは尾っぽに黒い線がある)

浄土ヶ浜を訪れるひとたちの拠点となるらしい、ビジターセンターとやらも覗いて(石柄のソファー、ほしくてたまらない)

帰りのバス、17時4分発を待ちます。

冥土から、うつつへ。

ところどころで、津波到達点の印があります。

朝、6時から始まった岩手旅行の初日、移動して観光して、移動して観光しても、まだ夕方の17時。それでもお腹が減ったので、駅前の「蛇の目本店」へ。TP、計画ご苦労さまです。TPは、瓶丼。

私は、刺身盛り合わせ。新鮮な刺身の中で、見たことも食べたこともない、想像すらつかないものがあったので、お店の方にこれは何かと尋ねたところ「マンボウのハラワタ、腸です」とのこと。見た目はホタテかな?貝かな?と思う白さ、口に入れるとシャキシャキしていて、初めて食べるのに懐かしいような味。他にも、アワビ、ホヤ、うなぎ(酒蒸し?)、マグロ(カツオの色だけれどビンチョウマグロっぽいもの)?、まさかの数の子!ホタテ、イワシ、底の方から生エビ…大、大満足です。

TPが何日もかけて決めた旅程は、

ひとまず、一日目は大成功です。

ふたりで一泊8000円しかも朝食付きという破格なホテルにチェックインして、

ボケーっと窓から景色を眺め続けます。

ボケーっとしたまま、あれ?と思うとあっと言う間にバラ色の夕焼け。

激安宿にある「銀河鉄道の夜」開いて数行読んでみると、耳馴染みのない海外風の名前が出てきたうえに、宇宙やファンタジー、ページ数も多そうだったので、おばさんにファンタジーはもう無理、今日は読むのやーめた、と本を閉じます。

「お茶漬け無料」という謎サービスで、だだっ広い食堂でTPとふたりだけで、お茶漬けを食べます。他の宿泊客はどうしているんだろう?

 

ところで、久慈駅あまちゃんの衣装とハチマキを身に着けて「じぇじぇじぇ」と写真を撮ってみたところ、撮影したTPが驚くほどの完成度、ふたりして「奇跡の一枚」と盛り上がったものを、福岡のMちゃんや、実家の母や弟に送ってみます。すると、J先輩から先日の岩手に行きまーすメールにお返事が届いていて、岩手といえば、と「銀河鉄道の夜」に関する思い出や、米津玄師の「カムパネルラ」の曲についても触れられてあり、電流が走ったように、突然、読みたい、そう思います。

老眼鏡をかけて、読み始めます。グイグイ、物語が入ってきます。そして、ジョバンニと、カムパネルラの友情が手に取るようにわかります。私にもわかる!と言うより、私がジョバンニ君であり、カムパネルラ君なんだ。

TPは、早朝からの移動で眠ってしまっています。私は、初銀河鉄道の夜体験で興奮して、格安ホテルの外に飛び出します。今日は曇り空だけれど、星をたったひとつでも見つけたい、見つけないと眠れない、1.2から1.5の間を行ったり来たりする視力で、曇り空の中から、ひとつだけ星を見つけて、安心して部屋に戻ります。岩手に来ているはずなのに、まだ心は夜行バスの中に居るかのよう。