監督失格?

monna88882012-04-15

スパゲティをゆでて、オリーブオイルで熱した唐辛子とワカメふりかけをまぶして炒めて美味しく食べてから、渋谷へ出かけました。せ、つやくだね☆渋谷の中心地を通ると、どういうわけか先祖代々の恨みかのようにメラメラと体中が暴れ出すのを避けるために、自力で開発したルート、宮前公園、ロフト、裏道を通ってアップリンク、文化村、ラブホ街をチラッと抜けてユーロスペースの下の階の映画館へ。1階のカフェは300円でコーヒーのテイクアウトも出来て、煙草も吸えるという新しい発見に、うっとりします。帰りは代々木公園を通って。夕日が沈むと全部が終わったかのような落ち着きが広がります。


サウダーヂ
映画、サウダーヂ。TPが何ヶ月か前にひとりで観て、その日は感想を求めてもボーッとしたように、長いけど面白い映画、今の邦画に無いものが全てあったとだけ聞いていました。自主映画で、色んな移民の人たちが出てラップもあってとなると勝手に思い描いた映画が頭の中にあったのでなかなか腰が上がりませんでした。


それでも、私の体調を観察してくれてまで一緒に行こうよと何度も誘ってくれたので、待ってろよ渋谷と強氣に出かけたのです。この映画は時間以上に長くてイライラがあるのは確か、それを超える世界観に優劣は無く、200パーセントの情熱で映画撮りたいだけ、日本映画とお茶の間に突破口を広げるべ!の精神。何より会話の面白さと人が好きなんだただそれだけ、イェー、人をもっともっと見たいんだ、たくさんの人間を出すその勇氣、全ての役者を見つめる目、全員が全員の役を生きている、打たれっぱなしで、スクリーンの大きさが360度の視界の大きさまで広がります。これほど自分を観ろエゴが少ない人も、本当に珍しいと思いました。


監督失格 DVD2枚組

監督失格 DVD2枚組

そもそも、監督がAV女優、由美香さんをタイトルまでにして、なお不倫だと公言していたことだけでも監督が弱く思えてカチンと来ていたのに、この作品は全く違う目にしてくれ、手の届かないほど好きだった人を失ってしまったときの顔を全部見せてくれていました。カンパニー松尾さんの色男ぶりにも驚きます。この由美香さんという方と私という人間の違いがわからない、全部の女性の象徴なのでは?と思うほどにはまりこんで見つめていました。葬式では歴代の男たちにかつがれていたというシーンで、これまで発散し続けていた愛情を同じだけ全部受け取って見送られたのかしら、そう思いました。母性の映画でした。