雨の栃木ドライブ

monna88882015-07-18

前から薄々氣づいてはいたけれど、私もTPもきっと雨女・雨男なのでしょう。宇都宮は朝から雨、雨、雨です。今回の唯一の目的地「大谷石採石場跡」は、前の職場でSさんから私が好きそうな場所があると教えてもらってずっと氣になっていたところ。バスでも行けるそうですが、雨なので試しにレンタカー屋さんで値段を尋ねてみると、安い。どうやら勝手にまけてくれたそう。その場で借りて、いざ栃木ドライブです。車で30分、大谷石資料館は、その入り口でもうヒンヤリとした冷氣が足元からふわーっと立ち上がってきます。入場料700円。貸し出しのブランケットを羽織って地下へと続く石の階段を降りると・・・そこは、完全なる異空間、こんな場所があったんだ!興奮しながら巨大空間をすべらないようにていねいに歩き回ります。その昔、ひとつひとつを石切りのハンマーで叩いて、クサビを打って人の手で切り出していたことを知ると、涙が出そうになります。TPに頼まれてシャッターを押すと寺山修司のような唐十郎のような世界を再現していました。


ところどころ、天井に開いたわずかな隙間からの光が神秘的、誰もがボーッとして写真を撮りまくっています。

せっかく車があるので次は、塩原へ。久しぶりのドライブ、遠くの山を見ても、近くの雑草を見ても、民家を見ても空を見ても、フロントガラスに打ち付ける雨を見ても、何だってウキウキします。TPは今回の旅行に2007年度版のまっぷるを持ってきています。8年前に栃木へ来たってこと、古いガイドブックを参考にとちぎ和牛のレストランへ。朝採れ野菜のサラダ、地元の器で出される地元の牛さん、目が飛び出るほど高いお肉は目がつぶれそうなほど美味しいけれど、声が出そうなほど少ない量でした。何かで本州一だというもみじ谷大吊橋を傘をさしてもびしゃびしゃになりながら渡って、次は那須へ。殺生石、まるで閻魔様の地獄へ続く道のようで軽く震えます。崖崩れのように山肌が削れ落ちた場所に、大小の岩、いろんな色の石が転げさらされています。両脇の草むらの中に曼珠沙華、この季節に?と思って目をこらすと、それはお地蔵さまの赤いお帽子でした。全てのお地蔵さまが大きな両手を合わせて、一心に祈っている姿。

私も両手を合わせて祈ります。道路の向こう側には「鹿の湯」、案内板には正倉院にもその記録が残っているとのこと、硫黄の匂いを全身に浴びて、500円を払って入ります。

窓のサンも、床も、どこもピカピカに磨き上げられ続けている清潔な湯治場、濃厚なお湯、たくさんのお客さん、耳を傾けると「思い切ってきてよかった」「最高のお湯」「ずっときたかったけど、やっとこれた」「この雰囲氣、初めてじゃね?」など、誰もが遠い目をしています。女湯の浴槽は4つ、源泉の流れる順番に温度が異なります。最高は46度、じっと入ると肌がビリビリと痛いほど。体の底から元氣が湧くようなお湯。風呂上がりに待ち合わせたTPは顔が灰色、ヨタヨタと自販機に向かってポカリスエットを2本一氣飲みして、笑えるほど汗を流し続けています。どうやら男湯には48度の湯があったらしく誰も入らないのでみんなの注目を浴びながらがんばって入ったところ、上がるときに焼けるような痛み、上がってからは氣が遠くなって、「死ぬときってこんな感じかな」の境地まで至っていたよう。己の限度がわからないその性格、何かに活かせないかな、などと思いながら帰路につきます。


一日中雨だったけれど、やっぱり栃木にきて良かった。雨の中の運転でくたびれたTPと口喧嘩をしたって、帰りが遅くなってお目当ての餃子屋さんがことごとく閉まっていて変な店で餃子を食べることになったって、宇都宮の街へ戻ってくると偶然にお祭りがあって、何をしても何を見ても、やっぱり楽しい。連休だもの。思い切って同じ部屋に連泊をします。あたしは今、宇都宮にいるんだ!