赤バッグとマドモワゼル

monna88882016-04-06

九段下をお花見したときに、「暮らしのうつわ 花田」で買った手のひらサイズの皿に、さやえんどうを乗せました。塩とオリーブオイルだけで弱火調理して、黒胡椒をかけただけのもの、そのおいしさたるや天にも昇るほどです。今日は定休日だったので、テレビで観た「鶏ムネ肉のスティック」料理を作るために、ムネ肉を2枚買ってきて、細切りにしました。半分は片栗粉を振ってネギと炒めて、残り半分は明後日にでも小麦粉振って揚げたりしましょうか、計画性を育てるために。

近所のスーパーへ向かっていると、私が秘かに憧れているおじいさんの姿が見えました。白髪を耳下のおかっぱにして、いつも真っ赤な女性もののバッグを優雅に下げている人。最初の出会いは私の住むアパート前。階段を降りると、赤いカーディガンに赤いバッグを下げたおじいさんが、カラスを追い立てながら、両手を広げては縮めて、まるでダンスをするかのように歩いていらしたのです。カラスもそうされることが嬉しいかのように、低く飛んでは外壁に止まり、追い立てられては低く飛ぶを繰り返しています。見とれていると目の前でカラスとのダンスを止めてしまいました。それから何度かすれ違うことがあったけれど、いつも女性ものの赤いバッグを下げて、この世の人じゃないような優雅さで歩いていらっしゃいます。今日はスーパーの近くのガードレールで、頭の大きい男性から、ものすごく大きな声で、話しかけられています。ふたりの距離はとても近く、顔は10センチほどに迫っています。争いごとか?と近づくと、男性は声は大きいけれど、そのおじいさんに何か相談している様子。ホッとしてスーパーで買い物をすませて、また帰り道に通りかかると、今度はふたりでガードレールにもたれかかって、楽しそうにお喋りしています。亀のような速度であえてゆっくりと歩き、会話に耳を傾ける。おじいさんが「…教会…わたしは100万円寄付したことがありますよ…」と言う会話しか聞き取れませんでした。頭の大きい男性はおとなしくなって神妙に頷いています。謎は深まる!どうにかしてそのおじいさんと交流できるキッカケはないか知らん!「そのバッグ、すてきですね」とか何とか。以前仲良くなったつるっぱげのおじいさんは、数年前の大規模アパート火災で亡くなってしまわれたようで、その後に一度もお見かけしなくなったっけ。私のことを「マドモワゼル」と呼んでくれるすてきなおじいさんだったけれど。もうこのご近所でマドモワゼルと呼んでくれる人は誰もいません。