お花見と大往生

TPが何日も前から「今度の日曜、どうする?どこ行く?」と言いながらわくわくしてあれこれ検索してくれていましたが、今年の第1回お花見は、世田谷の砧公園だそう。最寄り駅は千歳船橋小田急線の改札前には、TPが見つけたという朝ごはんが食べられるスポット、店がずらり、あちこち覗いて、定食屋に入ります。めんたいこ朝食セット500円。

千歳船橋駅前には、コッペパン専門店がありました。ひとつだけ買って半分こしようと、店の外で待っていると待てど暮せどTPが出てきません。ピーナッツだけではなく、たくあんコッペパンまで頼んでいたようです。朝ごはん食べたばっかりなのに、でっかいコッペパンを1つ半も食べて苦しそうなTP。

砧公園まで歩いて2.5キロ。日差しが強いのでグラサンをはめて歩きます。ここはRCと一緒に来たことがある駅、美術館に行ったっけ。細い歩道を縦になって歩いていると、次から次から自転車が来て、チリンチリンとベルを鳴らされて、歩道の端に移動させられます。チリンチリン、ジリジリ、チリチリン。公園に近づくにつれて自転車は増えるのでだんだんと嫌になって、帰りたくなります。

公園に入っても、チリンチリンの嵐、前からは日曜ランナーがフッホフッホと鼻息荒く向かってくるので、ここでも道の端を歩かねばなりません。また着いたばかりなのにくたびれたのでベンチに座って、TPが好奇心いっぱいで公園をひとめぐりするのを待ちます。すっごい数のひと。すっごい数の自転車。散歩から帰ってきたTPが「お弁当調査してきた。ほとんどが買ってきたおそうざい。後はピザ」と報告してくれます。「どうする?」と言うので「帰ろっか」と答えると膝から崩れ落ちるように笑っています。

帰りは住宅街を通ってみます。こじんまりとした自然公園や、好きな感じの小屋みたいな家、人通りが少ないので急に元氣が出ます。いい道やね〜!

RCと来たことのある、堀口コーヒーに入って、やっぱりここのコーヒーはおいしい、日本で一番かも知れないとうっとりします。早起きしたからでしょうか、TPは頭をグラングランと揺らして、居眠りしてしまいました。いつか、夜行バスで名古屋に行ったとき、バスで眠れなかったというTPは「矢場とん」で味噌カツをくわえたまま眠ってしまったっけ。どれだけ揺すっても起きないから恥ずかしかったな、そんなことを思い出します。

また小田急線に乗って。乗り換えの駅でTPが「この辺、門ちゃんが行きたがっとった水餃子屋さんがあるっちゃない?」とのこと、へ〜そう、7ルールで紹介された水餃子屋さんの雰囲氣が大好きで、録画したものを繰り返し見ていたけれど、自分がその店を訪れるという発想はなかった、試しに降りてみましょう。

駅の周りをスピードを上げて歩き回っているとTPが「門ちゃんってさ、行きたいところと行きたくないところの差がものすごいハッキリしとうね」と言います。砧公園ではテコでも動かなかったのに、代々木上原では場所も知らない店を探して歩き回っているから。

あった!行列の先に、按田餃子が!

40〜50分も並んで入店、どこを見回してもうっとりとする店のつくり、色づかい。

このお店の店長の本を2冊も読んでいるから、迷わず水餃子定食とラゲー煮込みを注文。そのどれもこれも、ひとくち頬ばって目を閉じると、ここは天国か?と思うほどの完璧さで腹の底から元氣が湧き上がるような味、4種類の水餃子は、噛みごたえがあって口の中がめくるめく世界に。あ〜幸せ!店を出て、この幸せを長く味わいたいと口を手で覆って記憶を固めているとTPが「門ちゃんてさ、ものすごいわかりやすいね」と目を閉じてうっとりと食べている顔マネをしています。どうもどうも、マネまでしてくれてありがとう。

新宿駅から、私の「庭」新宿御苑へ。何百人のひとたちがチケット売り場からあふれ出すように並んで、明治通りまで行列ができています。トコトコと先頭まで行って試しに年間パスポートを見せてみると「年間パスポートですね、どうぞこちら」とするすると、チケットの行列をよけながら入場ゲートまで、するりと入れてしまいます。恐るべし年間パスポート、生まれて初めてのVIP待遇だと悶絶します。芋の子を洗うほどのひとたちが、桜の周りにびっしりと。端っこの方の芝生に座って、みなさん私の「庭」にようこそ、どうぞ楽しんで、庭師の方々もご苦労さま、みたいな妄想をしてみます。とてもいい氣持ち。第1回目のお花見は午後から取り返したので大成功でしょう。

夜、パソコンを開くとKさんからメールがきていました。あのタマ先輩が先日、亡くなったというのです。18歳6ヶ月も長生きしてくれて、最後はKさんの手のひらに頭を乗せて。その堂々としたふるまいに猫界と人間界の違いはあれど大先輩だと敬意を払っていましたが、痩せてからもひとりでトイレに行っていたと言うのでさすがタマ先輩だとますます尊敬しました。私も最後まで堂々としていたい。心からの黙祷を捧げました。