サマータイムの終わり

monna88882013-10-27

サグラダファミリアの当日券を買うために、早起きをしてチェックアウトしようとしたところ、宿の女性が私の腕時計を指差すジェスチャーと壁時計を指差すジェスチャーを交互に繰り返して、スペイン語で何かを教えてくれようとしています。よく見ると1時間違う。サマータイムが終わったと教えてくれているようです。そうか、つまり今日は8時出発だったつもりが、今はまだ7時なのか!1時間得した氣分です。地下鉄で3駅。地上へ出た瞬間、あっと声にならない声が漏れてご対面したサグラダファミリア、すでに100人ほどの行列です。


  
開館から30分ほど待って、チケット購入の受付では、入場は9時半、上に上がるエレベーターは12時半とのこと。驚いていると、一度入ったらエレベーターまで3時間出られないから、入場を遅くすることもできるそう。こういう小さな判断でもアタフタします。咄嗟に、係の人に「Which is better do you think?」どちらがいいと思いますかと必死の形相で尋ねてみると、入場を11時にしてそれまでこのあたりを観光した方がいいよと、後ろにも長い行列、そして毎日このようなやりとりが行われているであろうに、親切に答えてくれ、入場チケットも時間を変えて再発行してくれました。お陰で教会前の池、そのすぐ横でサグラダ眺め三昧でクロワッサンとコーヒーの朝食が1人2ユーロ、地下鉄でカタルーニャ広場まで戻って今晩の宿探し、サグラダ周りの散歩を充分に楽しむことができました。


サグラダファミリアに入場してからのことは、記憶が止まって、漂って、音がありません。触り心地、歩き心地、光の具合を確かめるように、ただ呆然と。表面の彫刻は、割と保守的なものがガウディさん作とのことで驚きます。

  

エレベーターで上に上がると、海が見えたので腰が抜けるほど驚きます。造りかけのてっぺんも間近で、これまで見たことがないほどの濃い青空で。アンモナイトを連続させて長く引き延ばしたような螺旋階段を歩いて1階まで降ります。古代人の人たちのことを考えると完成まで何百年かかったっていいんだ、そう思いました。ちょうど9月後半のような暑さ、半袖でちょうど良い氣候、てくてくと歩いてガウディさんの別の作品、カサ・ミラへ上がります。昨日見たグラナダの絶景がこれまで見た中で一番の絶景だと思っていたけれど、わずか一日にして更新されます。くねくねと青空の対比で。


めまいするような感触のまま、ふらふらと各部屋を眺めながら、最後のお土産売り場で目が合うとニコッと微笑みかけてくれたイタリア人風男性に、思い切って尋ねてみました。「この中で、スペイン語の本はどれですか?」その方は、Let me see、どれだろう?と一緒に、これはイタリア語っぽい、これはスペイン語っぽいけど違うよね、これかな?と教えてくれました。タイトルはガウディものがたり。日本語の本と合わせて買いました。スペインに来て初めての買い物になりました。

 
夜、TPがどうしても行きたいというピカソ美術館まで、道に迷いに迷い、駆け抜けるように絵を見て、あ、ピカソは線とか、面の人じゃなかったんだ!色を筆の幅でとらえている人だったんだ!と感激しながらタパス、そして石の街散歩、カタルーニャ広場から伸びる遊歩道、夢の中の人のように歩きに歩き、ふわふわと宿に戻って、夢の中で夢を見ているような一日は終わりました。