すーすー

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定休日。健康診断へ。病院の大きい窓から街を見下ろしながら「今頃、父は手術か。がんばれ」と思います。両目とも1.5、身長もまた伸びていました。ふと思いついて、追加でピロリ菌検査も入れてもらいます。すでに取った血液で検査できるそう、2750円のお支払い。お茶屋さんで買った抹茶のおいしいこと!また買おう!

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昼ごはん、食べたいものが思い当たらず、おいしい魚屋でおいしそうな寿司を買って帰ります。本当においしくてびっくり。

 

昼寝していると、電話で目が覚めます。出ると、母。「お姉ちゃん…」その声で、もうわかった。「お父さん、もうダメって。お腹開けたら、もう癌があちこち広がっとって、そのまま閉じたって」涙も出ません。大きい何かが身体から抜けてしまった感覚。「余命、1ヶ月から3ヶ月って」震えもしません。ため息もつけません。自分が息をしているかどうかわからない。「お父さん、あんなにいい人なのに何で…かわいそう」母は氣が違ってしまったのか、父をいい人と言い、あのひとほど周りに優しいひとはいない、皆のことを思っていつもひとのために生きてきて、などと言っています。狂ったな。それでも、病院に言われて在宅介護用のベッドの手配やら、在宅の先生の連絡やら色々忙しそう、親戚にも電話しなきゃだろう。手術室から2時間で出てきた父も母に「何か言われたか?」と聞いたそうですが「私の口からはとても言えん、先生に聞いて」と、モロバレな感じで答えたそう。手術できないことは、先生が直接弟に電話して伝えてくれたそう。14時から先生が父に直接話すそう。

 

メールを開くと、弟からも経緯が届いていました。「本当のことを本人に伝えて、本人の思う通りにさせてあげてください」と先生に伝えたとのこと。弟もさぞかしショックだったろう。私が寿司食って昼寝している間に。

 

15時、父に電話してすぐ切ります。まだ麻酔が効いているかもと。すぐに折り返し電話がかかってきます。「おう」「先生から聞いた?」「聞いたや?」「うん。たまらんね」「たまらんな」「聞く時、怖かった?」「いや。やっぱりと思って」「お母さんが、お父さんみたいにあんないいひとおらんとか言い出して、もう仏様扱い」と言い終わる前にもう、父があははっと大笑いし始めたので私も大笑いします。「介護用ベッドも手配したって」と言うとますます大笑い。「俺、まだ元氣やもん。歩けるのに」と笑います。

 

チームのメンバーと、上司にチャットでことの経緯を伝えて、実家に戻って在宅勤務させてもらうことにしました。

 

もう一度、母に電話。少し落ち着いたと言いながら「でも嘘みたい。夢の中みたい」とのこと。「あんたもお父さんが元氣なうちに帰っておいで」と言うので「うん、今、上司に許可もらった。一週間とか二週間じゃなくて、もっと長くおれるよう許可もらったけん」と言うと母はあからさまに元氣が出てきて「本当?うれしい。皆でドライブ行ったりさ、お父さんにいい思い出いっぱい作ろう!温泉行ったり」と、自分のやりたいことを語りだす始末。やっぱ狂ってんのかな。ふと「あ、でもTPにまだ何も話してないけん」「TP君は大丈夫やろう」と勝手に決めています。あーあ。

 

弟から再びメール。「母が大泣きで今すぐ帰って来てって言うけん、あわてて飛行機のチケット取ったら、退院してからでいいって言い出してチケットキャンセルしました。振り回されてばっかりです」とのこと。大笑い。

 

仕事から帰ってきたTPにも経緯を話します。TP、ショックを受けて「シャワー浴びて、考えてくる」シャワー後、「今度の土日、帰ろう」と言うので「あ、そうじゃなくて」と私は来週帰省して、父があの世に行くまでこちらには戻らないと伝えると驚いています。「あ、そっか!門は在宅できるもんね」と言いながらも「俺も仕事やめて福岡行こうかな」「運転手のしごととか」などと冗談半分の妄想トークを展開しているので大笑い。

 

ひとしきり笑うと、目から液体がすーすーと流れ出して止まらなくなりました。こうなったら付き合うぞ、最期まで!