奪う

monna88882013-12-07

弟から電話があったので、新宿駅西口で待ち合わせをしました。彼女連れてくけどよか?とのこと。いいよ、でも彼女にもちゃんと言っときいよ、逆の立場やったら嫌やろうけん、と伝えて。遠くから見ると、弟の腕にすがりつくようにコロコロとした女の子が、はち切れそうな笑顔で。ペコリッと頭を下げて挨拶した後、弟が行きたいというラーメン屋へ3人で歩いて向かいます。若い女の子は弟の顔ばかり見上げて仕切りに話しかけています。ヤッベ、前のお嫁さんも前の前のお嫁さんも全く同じ、出会った最初の頃だけキャッキャとまとわりつくようにベタベタアピールをしていたっけ。


ラーメンの後、喫茶店に入ってあたしは過去二人のお嫁さんの分まで言ってやらねばと、最初にかましてみました。これからのこともう決まっとうと?二人はまだ何も決めてないと言います。もう先月から一緒に暮らし始めたそう。なので、離婚が成立したばっかりなのに早過ぎるよ、何で我慢出来んと?そして、これまでのお嫁さんたちだって最初はキャッキャ、いちゃいちゃと楽しそうにしとったけど、だんだんと仲悪くなる。弟に向かっても、あんたの結婚生活のほとんどは、不倫の連鎖、結婚イコール不倫の生活やないと言ってみます。彼女はプーッとふくれてそっぽを向いていました。弟は笑いながらも切ない顔。明らかに人を傷つけている実感。しばらくの沈黙を得て今の生活のことを尋ねたりしているうちに、ふたりのご機嫌も戻ります。女の子は案外さっぱりした性格です。これから弟との新しい暮らしに向けて、仕事も探しているようす。私は何度も、今じゃなくてこれから先になって幸せに暮らして欲しいと伝えました。心にはメタメタに傷付けられた二人のお嫁さんが浮かんで。誰かを傷つけて得たこと、まずそのことを受け止めて欲しいな。前のお嫁さんの悪口はどしどし出て来ていて、そのことでふたりの心は一致団結しているけれど、彼女の狂氣を絞り出したのはこの目の前のふたりなのです。私も知らずに誰かを傷つけて、断罪しているのかも知れないし、私も誰かから何かを奪っているのかも知れない。そんなことを感じた土曜日でした。


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カルロスサウラの、フラメンコ。楽屋にダンサーが集まってくる鮮やかなシーンから始まって、いつの間にかバレエの世界のようで、何だろうこの世界観は、そう思いながらボーッと観ました。