母の上京物語

monna88882012-05-20

母の上京、今日で最後です。明日は飛行機に乗って帰るというので、朝起きた瞬間から「お姉ちゃん、ここにもう一泊せん?」とのこと。お台場でスマップの歌を聞きながら巨大ビジョンで金環日食を観るという計画は、もう何だかめんどくさくなったとのこと、今日は朝から横浜へ行こうと言っていたけれどそれも何だかめんどくさくなったと浅草へ行くことになっていました。父は朝から「お前もビール飲むや」と焼酎を買いに出て、私のビールを買ってきました。グビッ、濃厚な愛情にどっぷりと酔うしかない感覚です。


 
母が何度も行きたいと言っていた、よくドラマに出て来るあの銀杏並木へ。外苑前で地下鉄を降りて、父と3人で歩きます。大したことないとバカにするものではない。本当にイチョウの木は健やかに伸び、整然と美しく空氣の美味しいこと!並木を抜けると父は勝手に明治神宮まで歩くと言い出します。母はずっと後ろから歩いてきて、えーと言っています。歩きながら喫茶店でコーヒーを買おうとすると、母がダメ!あたしのワオンでミニストップのコーヒーを買う、今は100円よとガッツリと止められました。確かに、濃くて美味しいコーヒーは量もたっぷり、お母さんは何でも知っとうね!と言いながら、今度からコーヒーをテイクアウトするときはミニストップで買おう、そう思いました。


  
こんなに東京の街をたっぷり歩くとは思っていなかった。明治神宮でも二人はてんでんばらばらに歩くけれど、あたしもあたしの道を歩くのみ。母はすれ違う花嫁さんたちの美醜を厳しく採点しながら、夫婦円満の柿の木でお父さんと写真を撮ってと言って、その後はまたバラバラに歩き出す二人。父が手招きするので行ってみると、野いちごがなっていました。蛇苺か野いちごかで母と父は言い争っています。表参道で中華を食べてひとやすみしました。食べ終わると浅草ももういいねと言うので、じゃああたしはここで帰るねと言うと母は突然、駅に向かってトコトコと早歩きになってしまいました。父と追いかけても追いつかないくらいのスピード。電車の中でもそっぽを向いています。ときどき振り返って「また帰っておいでね」と言う。駅でお別れするときは手を握って「色々ありがとうね」と言ってまたトコトコと駅のホームを歩いて行きます。これが辛いんだなぁ、母と別れると涙がトロトロと流れてたまらない氣持ちになります。それでも家に帰ると今回の母上京が何とか無事に終わって、ホッとして元氣が出ました。よーし、明日からもがんばろ、そう思いました。