観光客

いつもの同伴出勤の帰り、ひとりで歩いていると朝から驚くことがありました。すれ違ったおじさんから道を尋ねられたので、左ですよと教えました。おじさんが何してるの?と言うのでダンナを見送って、その帰りですと答えると、仲いいんだね〜、うちは別れちゃったよ。それよりさ、これ見て、そう言うおじさんの手元には、諭吉先生が100人ほどずらりと並んだ札束が!扇形に!どうしたんですか?と聞くと、当たった、と言います。何で当たったんですか!と重ねて聞くと、ロト6。102万円あると言います。わー、おめでとうございます!こんなラッキーなおじさんと会話しただけでも、私まで運をもらったかのよう。大喜びしていると、あなたに1万円あげるよ、おじさんはそう言います。えー!嬉しい!ありがとうございます!

こんな夢のようなこと、後から考えると怪しいと思うべきだったんでしょう。あたしは札束にポーッとなっていたのでしょうか。「ここじゃあ何だなぁ・・・ちょっと、こっちこっち」おじさんは1万円をくれる素振りで、ひと氣の無いところ、駐車場の奥の方へ行くので、私もトコトコ着いて行きます(102万円のうちの1枚、サッサとくれたらいいのにと思いつつ)。するとおじさんは1万円札をピラピラさせながら、お祝いのハグだけ!と両手を広げるので、えー、私はそういうタイプじゃないんでと断ります。それでも1万円をくれずに、おじさんは自分の股を指差して「ちょっとだけ、お願い!」さすがの私もこれはダマされているなと氣づきます。「私、そういう商売やってないんです!ごめんなさい」謝りながら立ち去ると「10万円あげるから!お願いお願い!」今となっては運の良い氣さくなおじさんから、変態おじさんに変身した声が、背中に響いて、氣色悪くなります。1万円が10万円になったな、一瞬そう思いました。もうあの道はひとりで通るまい。

氣を取り直して平日の休日。今日はRCが苦しいときに拝みに行った鎌倉の神社にお礼参りをすると言うので、私も行く!とついて行きました。途中で、職場が見えたので窓際のD君、M君に手を振ってみると、じーっと見たあとでハッと氣付いてくれて、手を振り返してくれるのでRCと笑います。あの人がD君よ。お隣りがM君。手を振って去ろうとすると、D君がおいでおいでと大きくジェスチャー。笑って通り過ぎようとしたけれど、さらにおいでおいでとのこと。あんなに呼んでくれたならとRCにも付き合ってもらって、おつとめ先へ立ち寄ります。どういうわけか今日は全員集合、みんな驚いた顔でニコニコしてくれました。今日は観光で来ましたと笑います。お邪魔しました〜と挨拶をして、RCにもお礼を言って、いざ待ち歩き。いつも私のブログに勝手に登場させては、仮想空間で交差している友人知人。そんな中でRCとD君をリアルで紹介し合えたのが嬉しい氣持ち。

佐助稲荷神社。ベンガラ色の鳥居がずらりと並ぶ小高い道を抜けると、信仰という言葉がシーンと響き渡るような、こじんまりした神社がありました。素敵!参拝者たちが納めたお稲荷さんの土人形や、小さい祠がずらーっと並ぶ裏手、湧き水コンコンの右手、境内のベンチで、秋のピンとした冷たい空氣を背中に浴びながら、おしゃべりします。RCはここ数ヶ月の我慢も限界、ものすごく傷ついたことがあるようで、傷つけたことに氣付かない当本人のことをボロカスに言い続けて止まりません。イヒヒ、私もそういうことあった。言っても言っても止まらないときが。思う存分、吐き出して欲しいけれど、だんだんとボーッとしてきて私も聞いてるんだか聞いてないんだか。それもまたヨシでしょう。


ランチは、私が少し氣に入り始めているところへ。まるで1皿で30品目を取らせようとしているかのように、色んな野菜が少しずつ調理されたレストラン、先日、女性たちのランチで行ったお店です。残念なことに、RCに食べてもらいたかった豆と肉の煮込みが今日は無かった、お皿もRCに見せたかったお皿じゃなかった、それでも一軒家レストランの2階の温室のような空間で、いつまでもおしゃべりしているだけでヨシとしましょう。


続いては八雲神社(だったかな?)。背中に崖っぷちを控えて、いいなあこの神社。手を合わせて、どうか行き帰りの電車、職場など人がいるところでドキドキしませんようにと祈ります。どうして人がいるところでドキドキする症状がなかなか治らないんだろう。山猿だからかな。

日が傾きかけて、最後はメイン通りの鶴岡八幡宮へ。上からの眺めは絶景です。休憩所でひと休みしながらおしゃべり、その雰囲氣がすてきで今度きたらここでカレーライス食べたいと言います。市場でさつま揚げも買ったし、鳩サブレも買ったし、観光客となって歩き回る街、ピカピカの一日でした。