キムチスンドゥプチゲのことだけは考えちゃダメ

昼休み、たまにはちょっと散歩しようと歩いてみました。じゃないと、毎日のようにキムチスンドゥプチゲを食べたくてたまらないから。あまり頻繁に行くと、こいつまた来てんなとか思われるのがいやだから。それでもなお、頭の中はキムチスンドゥプチゲのことでいっぱい、だんだん時間もなくなってきたので、初めて入った店で鳥唐揚げ定食などを食べてみました。ちっとも鳥唐揚げ定食氣分じゃなかったので、不満いっぱいで職場に戻ります。

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おつとめさきで、レベルの高い女性にもっとレベルの高い仕事を探す会議をしました。最高にレベルの高い男性社員が、ちょうどお願いしたいことがあると乗ってくれました。とってもうれしかったです。晩ごはんは、ごはんを炊く時間がなかったので、冷凍うどんをゆでてチリコンカンをぶっかけた、チリコンカンぶっかけ麺です。おいしかったです。

機転を利かせて

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朝から新宿御苑へ。どうしましょう、御苑でダイヤモンドを拾ってしまった、こんなに大きい粒。大金持ちになっちゃったかも。いつも行列が出来ているラーメン屋に、5分前に行ったところすでに30人ほどの行列、少し悩んだ末に並んでみることに。22分ほど待って、2回転めで入ることができました。澄んだスープ、旨味たっぷりの鴨肉とやわらかい鶏肉、ちょうど良い塩加減、何より、濃厚な出汁のスープ。。おいしい、おいしくてまた食べたくなっちゃいそう。店員さんに「何時頃ならあまり並ばないで食べられますか?」と尋ねると「そうですね、、、いつも並ばれていて、、、あ、でも!夕方4時頃なら比較的」とのこと。そうね、夕方4時にラーメン食べるひとなんて、あまりいないものね。

 

続けてニトリへ。扇風機が設置されて涼しくなった我が家、それでもトタン屋根が熱せられて殺人的な暑さになるので、遮光カーテンを買いに行ったのです。2枚で3000円台とは案外お安いわ。売り場で私がじーっと、140か178か、200センチじゃ長いはず、いや120センチかなとカーテンを見つめて悩んで、よし!このサイズで勝負だと顔を上げたところ、TPが「サイズがわからんっちゃろ?やめときやめとき、サイズ測ってまた買いに来よう!」と言うので目が覚めます。あぶないあぶない、サイズがわからない窓で一か八かの勝負するところだった。

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晩ごはんは大量に買ってあった豚ひき肉がまだたくさんあったので、玉ねぎを炒めずに入れたハンバーグ(ケンジがおいしいって言ってたから)、シャキシャキっとできてうれしい。まだたくさんある肉だねを、明日以降のために焼いておこうとしたところ、どういうわけか形が全部崩れて、モロモロ、ボロボロになって取り返しがつかなくなったので、金時豆の缶詰と、トマト缶(しろさんの影響でつい買ってしまっていたもの)をぶち込んで、チリコンカン風にしてやりました。明日の晩ごはんはきっとチリコンカンです。

解決2つ

何だか心地良いお天氣。近所にスンドゥブチゲを食べに行った帰り道、そうだ、TPの消えた半袖を探すためにおまじないをやってみよう!100発100中なんだもの、そう思い出して氣分が晴れます。

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早速、やかんに赤い糸をまきつけて。「もしやもしや、もしやの山にこしかけて もつれた糸ほどかん」と3回口に出して、真剣に祈ります。それはさておき、あまりにも暑くて、新宿のデパートまで避難します。去年、履きまくった夏用のズボンの色違いを試着して、そのまま値札だけ取ってもらって買って帰るとき、そうだ、壁掛け扇風機を買って帰ろう!と思いつきます。モーターがうるさくなくて節電のタイプ、2台買ったらまけてくれますか?と尋ねると、1台につき500円ずつまけてくれたので即決。

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家に帰って、ラチェットドライバーを取り出して、金具をネジでグイッグイッと止めていたところ、何とまあどうしたことでしょう、力を入れすぎたのか、それとも我が家の柱が硬すぎたのか、ネジが頭からポロッと折れてしまいました。片方だけはネジで止まったまま、宙ぶらりんの状態で。オーマイガッ。仕方なく、別の場所に取り付けようと、もう片方のネジを外そうとしたところ、今度は固く締めすぎたからか、ネジ山がだんだん削れて空回りし、溝がなくなってしまいました。ネットで調べて輪ゴムを当てて回してみてもダメ、後の祭り。こんなときは、昼寝するに限る。段ボールやら工具やらで部屋がとっちらかったまま、昼寝してやります。すぐに目が覚めて、現実から逃げちゃいけない、そう思い直して近所の工具屋へ。ネジ山が潰れたときに使う、金槌でネジ山に打ち込んで回す式のドライバーを買います。

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それでようやく、壁掛け式の扇風機が設置できたというわけ。ブーン、ブーン。涼しい、最高!

仕事から帰ってきたTPが急に白々しく土下座して「ごめん!制服、職場のロッカーにあった!昨日あれほど探したのに、奥の方にビニール袋が見えて、恐る恐る開けてみたら・・・」「やった!今日、おまじないやったと!良かった〜」と大喜びします。

やっぱりやかんのおまじないは100発100中やと喜びながらシャワーを浴びているうちに、だんだんと自分が疑われたこと、犯人だと決めつけられたことが腹が立ってきて、風呂から出たら寝転がっているTPの尻を100叩きしてやりました。よくも、疑ってくれたな!晩ごはんは、鶏のから揚げです。

マネージャー発進!

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私は今回の旅行で、素晴らしいことを思いつきました。旅行疲れで食べたくなかった機内食の丸パンを、TPの分も合わせてふたつ、ハイジのように持ち帰ったのです。包み紙は機内サービスで出されたマリメッコの紙ナプキン。こういう日々の節約が、いい奥さんと自画自賛できるようになるコツでしょうか。ハムとキュウリを挟んで、朝ごはんにしてやりました。

 

フィンランドで少し強くなったから(と思い込んでいるから)、思い切って全否定するひとを誘って少しお話ししてみました。やっぱり、やりたい仕事がやれていない状況に悩んでいるとのこと。ひとに誘われて転職も検討しているそう。「転職に踏み切れないのって、どういう理由ですか」と、これまた思い切って尋ねると、少し黙って、話しがすり替わってしまう印象。私は、彼女のことをよく考えてみました。私には無い知識と経験があって、仕事に関する興味もある。性格は少々個性的だけれど、仕事もちょっとクセがあるけれど、彼女の経験を思う存分伸ばしてあげたい、新しいことにも挑戦させてあげたい、あたしは今マネージャーなんだから、そのことに向けて動くことはできる。精一杯やってみよう、そう考えて本人にもそう伝えてみます。

席に戻ると、途端にご機嫌になってくれて、ちょっとしたトラブルに返信した私のメールを「さすがです」とか褒めてくれたりしました。悪いのは彼女じゃなかった、コミュニケーションを取らなかった私本人だ、そう悟った時間・・・

 

悟った私は早速、上司や隣の部署の上司にミーティングを入れさせてもらいます。彼女の能力を活かせそうな、もっと手応えのある仕事をさせてくれそうなひとたちに。晩ごはんは、大量に買ってある豚ひき肉があるので、春雨と煮込んでズルズル食べました。春雨おいしい。

 

ご機嫌でいたところ、TPが仕事の制服の半袖が2枚無くなった、と言います。ナニ?TPいわく「押入れの、この上の引き出しに置いといたと。それで季節ごとに交換しよったと」その存在はもちろん熟知しているものの、これはもしかして、私が、例の大片付けをやったときに、めちゃめちゃゴミを捨てたから、やってやったから、それで私が疑われてるな?と感じます。チクショウ!あちこち思い当たるところを全部引っ張り出してひっくり返して探してみますが制服の半袖は出てきません。これはもしかして、図書館で借りた本やCDをブックオフに売った過去がある私だもの、何をしでかすか自分でもわからない、でも絶対に制服を捨てたりはしていないはず。考えまい考えまい、明日、もう一度探してみよう。

15時間睡眠

起きたら朝の8時。ってことは、15時間も眠った!?マジで?信じられなーい。今日からまたおしごとだ。職場のドアを開けると「あ、来た来た」と弾丸旅行でしたねーと声をかけてもらって、えへへとなります。ひとりずつ出社してくるひとたちに、どうでした?みんな芝生に寝転がってました、どうでした?日本人と性格が似ているひとたちでした、どうでした?サウナで生まれ変わったような氣分になりました、などと短い感想をひねり出し(同じこと言ってると思われたくない小心者)、通常業務に戻ります。休暇中にちょっとしたトラブルが発覚したようで、その対応だけで一日終わり。トラブルを発見してくれたひとに、心からお礼を言います。

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晩ごはんは、メバルの煮付け。スーパーの魚屋さんに「このメバルはどうやって食べたらおいしいですか」と尋ねたら「やっぱ煮付け、煮付けが一番ですよ」と即答してもらって自信を持って煮付けてやります。メバルたちも自分たちがあっという間に煮付けられたことに、目をひん剥いて驚いています。

 

眠りの沼へ

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どういうわけか、機内泊だというのに、興奮しているのか3時間ほどしか眠れませんでした。成田空港に着いた瞬間、リュックがずっしりと重たく、空港を歩いているひとたちもワレサキにで苛ついているように感じます。寝不足の身体をずるずると引きずってバスに乗って、電車に乗って、歩いて、家まで。いつものモルタルアパート、ここが我が家です。

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昼ごはんは、帰り道で買った明太子と炊きたての白いごはん。やっぱり白いごはんと味噌汁と明太子は最強!

 

TPが死んだように昼寝する中、私は時差ボケを取り戻そうと頑張って起きていたけれど、夕方の5時、やっぱ限界、ちょっとだけと布団に入ると、起きたら夜9時、TPがコンビニ弁当を食べているのが見えてもう一度目をつぶると、またズブズブと眠りの沼へ・・・ずっぷりと・・・zzz

 

たった5日で

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こんなカフェでお茶できたら最高だろうな、みたいなカフェが本当にありました。朝、7時30分起床。家主のいないヘルシンキのアパートの一室で、今日も水道水を水筒に汲んで、荷物は置いたままにして、トラムに乗ってシベリウス公園へ。シベリウスさんという作曲家は、フィンランドの森に住んでいた方だそう。その方を記念して作られたという公園で、朝ごはんを食べます。

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夢じゃないかしらん。

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と思ったら、スズメが。かわいいと写真を撮っていたら、次から次へと、何羽も何羽もやってきて、ケーキやパンをつつかれまくって、盗まれまくります。

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それにしても、フィンランドは本当に岩が多い。どこを見ても岩だらけです。ヘルシンキの町中だって岩があちこちに、その土地を活かして、岩の上に教会を建てたり、公園を作ったりしているよう。

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シベリウスさんの像の前。フィンランドには、世界各国から団体旅行の観光客も来るようです。大型バスから、どーーっと降りてきたのは、インド人のグループと中国人のグループ。(確か、両国は仲悪いはずだけど大丈夫かな)とヒヤヒヤ眺めていましたが、みんな楽しそうに写真を撮っています。私も、ステンレスのオブジェに頭を突っ込んだ写真をTPに撮ってもらっていると、その格好が可笑しいとインド人グループが声をあげて大笑いしてくれたのでうれしくなります。

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またトラムに乗って中心地まで。紙の一日乗り放題兼、透かしてみれば電子回路が挟まっていました。みんなみんな生きているんだともだちなーんーだー

リクさんちに荷物を取りに帰って、トイレなど済ませて水など汲んで、キッチンのテーブルに短いお礼を言葉を書いたメモと、玄関の鍵、部屋の鍵を並べて、さ、いよいよこの宿ともお別れ、出発しようとしていると、長男のニコラスが帰ってきました。ニコラス?と聞くと、うんと頷きます。私たちは今去るところ、どうもありがとうとお礼を言ってリクさんちを後にします。モイモイ!と言うとバーイと言われました。

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チェックアウト後、初日から氣になっていた美術館、HAM(ヘルシンキアートミュージアム)へ。

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ひとり12ユーロ。入場するといきなり、トーベ・ヤンソンが書いた壁画が展示されてあります。恋人(女性)を真ん中に描いて、彼女の飼い犬も描いて、とてもその女性のことを思っていたんだなということがわかります。くわえタバコで絵をかくトーベさんの写真を、写真に撮ってみます。

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エキシビションは、エレンさんというフィンランドの画家。

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小さい版画もあります。

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そして目を剥いたのがもうひとつのエキシビションパウエルさんというひとのアート。どの作品を見ても、奇人変人っぷりが最高です。

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そして、真っ白いつなぎ、レジャーシートみたいな素材のものを着て、真っ白い空間にベッドマットや大きい円柱形が置いてある空間で、無言で、好きなだけ寝転がって過ごします。円柱の上で手足を広げて大の字になると、怖いものなんてなんにもない、そんな氣持ち。

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たっぷり楽しんで出ると、写真撮影コーナーで係の女性が写真を撮ってくれました。キャッツ風のポーズを決めてみます。

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クロークに預けておいたリュックを返却に行こうと、ポケットから鍵を取り出すと、何とまあすてきな言葉が書いてあります。クローク係の女性にも、すてきな言葉ですね!と言って鍵を戻します。美術館の売店を冷やかしていると、何とその言葉が表紙になった手のひらサイズのノートがあります。お値段もたったの3ユーロ!そう言えば今回、まだ何もお土産を買っていません。私が旅行を重ねてきて、自分で圧倒的に「私って、本当に成長したなぁ」としみじみするところは、お土産を買うことが減ったことです。前回のウズベキスタンだって、ザクロ柄の器と、ティーポットと緑茶とサラミしか買わなかったし、今回買ったものはまだ絵葉書くらい。この3ユーロのノートなら、帰ったら遊ぶ約束をしているRCと自分へのお土産にちょうどいい!サイズもお値段も!と即断即決でレジへ。お支払いを済ませて、3歩ほど歩いて、うん?となります。手帳は3ユーロのはずなのに、2冊で16ユーロ支払った。1冊8ユーロなら1000円を超えるから、挨拶程度の、氣に入らなかったら誰かにあげて程度のお土産には不向き。レジに戻って、値段が違うと言うと、内氣そうな女性店員さんはじーっと考えて、同僚にも声をかけて、これが正しい値段と言います。ちょっとこっち来てくださいと値札のある場所に来てもらって説明すると、どうやら値札が間違っているみたい、ごめんなさい、3ユーロはお隣りの鉛筆の値段なの、みたいなこと。どうりで鉛筆にしては高いなと思ったんだ!返品させてくれると言うので素直にレジに向かうと、レジの取り消し作業をしながらお店のひとが「もし3ユーロだったら買う?」と言うので頷きます。レジでピピピッと何かを打ち込んで、本当に3ユーロにしてくれました。

私は、このノートがとても優しい心で、とても大きい幸運を連れて私の元にやって来たんだと思うと、じわっと、少しずつ、じーんとしました。

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今度は地下鉄に乗って。(なぜもっと前に、乗り放題券を買わなかったんだろう、でもそのお陰でヘルシンキ中を歩いてまわれたんだから)

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ガイドブックで見て行ってみたかったフィンランドのスープ食べ放題の店、クルマへ。店の男性がレジ前に自分のバンドのポスターを置いているので、歌手ですか?と尋ねるとイエス、とスマホでユーチューブの動画を見せてくれました。


Seven Mugs Cinammon Girl (Neil Young)

クール!と感想を言って、サラダやスープの説明を受けます。ひとり10.5ユーロ。

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お店の男のひと、オーナーらしいひとが、日本人?と聞くのでうんと答えると、ちょうど先週末日本に行ってたんだよ、神戸(だかどこか)の高島屋(だかどこか)で、フィンランドフェスティバル(だか何か)に呼ばれて、何日もスープを作っていた、とのこと。ものすごーく驚いて、ますます、よくスープを味わいます。ものすごく好きな味。サーモンクリームスープと、豆のトマトスープ。もうひとつはポテトスープ。やっぱり私もスープ屋をやろうかな。豚汁屋とか。やっぱりそれしかないかな。私たち、これから帰るんですとオーナーに言うと、フィンランドは楽しかった?と聞かれたので、はいとってもと答えます。ヌークシオや、カウリスマキのバーに行ったと言うと、自分が書いたフィンランドのガイドブック(英語)にも、カウリスマキのバーを乗せてるんだと本を見せてくれました。

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TPが最後にもう一度歩きたいと言うので、エスプラナーディ公園へ。ヘルシンキは小さい街なので、一日2〜3回は通った公園。

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乗り放題の券で、空港までの電車に乗って来た道を戻ります。まだまだ。まだ旅は終わってない。だから泣かない。空港で、職場のお土産のチョコレートひと箱、自分へのお土産チーズ1キロと、店のひとに相談してチーズスライサーを買います。どれも、ひとつ10ユーロくらい。

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帰りも、機内が空いていたので座席に寝転んで帰ることができます。ヘルシンキにはたったの4泊。白夜なものだから夜までたっぷり遊び尽くして、濃い5日間だった。たった5日間で、できること、行ける場所は山ほどあった。自信にもなった。私には、旅行を楽しむ底力ができてきた、いくつものスキルも身についている。職場の人間関係くらい何さ、私は自分で思っているよりも強いのかも知れない。来てよかった、フィンランド、ありがとう、フィンランド、TP行きたくないとか言ってごめん、お陰で最高だったわヘルシンキ、キートス!!モイモイ!!

 

ヘルシンキ、劇的な場面

明け方、トイレから戻ってきたTPが「俺のコーラが無い・・・」たいそう落ち込んでいます。「まさか!あろうもん」と抜き足差し足で冷蔵庫を見に行ってみたものの、本当にありません。そもそも、初日に「君たちはこの段を使うといいよ」と言われたところに1.5リットルのコーラが入らなかったからと、ドアのドリンクポケットに入れておいたとか言ってたっけ。そのコーラがこつ然と姿を消しています。台所をよーく見渡すと、洗って伏せておかれたコーラの空きペットボトルが。

TPにも、空っぽになって容器だけ洗ってあったよ、と報告。「楽しみにしとったのに。でも1.5リットル、全部飲む?飲めるかいな」とか言うので「男の子4人やもん。きっとトーマスが飲んだっちゃない?ゲームしよった子。誰かが飲んだら、他の子も自分ちのものと思って飲むよ」とか答えます。コーラを飲まれたなどと家主に言うのは、やっぱり氣が引けるので、この事件は迷宮入りにしました。

 

さて、二度寝して7時30分起き。台所ではリクさんと息子たちがパンにケチャップを塗ったようなものを食べています。TPにもう一度「今日から留守にするけれど、 何かあったら長男のニコラスの電話番号をメモしておくから、いつでもかけてね、近くに彼らの母親も住んでいるから、すぐ来られるから」と言ってくれています。私が「セルヴァ!(フィンランド語で、了解!のつもり)」と答えると、リクさんはプッと吹き出してくれます。別れ際、わざわざ日本式に頭を下げてくれました。「あなたたちが、フィンランドの文化に興味を持ってくれてうれしかったです、サウナや料理、ヌークシオの森、そしてカウリスマキ。どうもありがとう」こちらこそ、お世話になりましたと頭を下げて、なるべく日々の行動を伝えるようにしていたことを思い返します。リクさん家、本当にキートス。そしてモイモイ、またいつか会いましょう!と言ってヘルシンキ散策に出発です。

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朝ごはんは、TPが「フィンランドで一番古いカフェだって」と楽しみにしていたところへ。モーニングはビュッフェだったので、ゴルゴンゾーラを2回お替りして、たっぷり堪能します。TP「このパン、おいしい、俺このパン好きやわ」というものは、何かの種がいっぱい乗ったパン。へ〜、そんなパンが好きなんだー。

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旅の隊長、TPが考えてくれた今日の予定はまず、スオメンリンナ島。ひとり7ユーロ(往復)の切符を買って船に乗り込みます(TPが、あれ?地球の歩き方には5ユーロって書いてあるけどとか言ってた)。15分ほどの船旅です。

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あ、着いたと思って降りようとしたところ、係のひとが「スオメンリンナ?ならここは違う島よ」と教えてくれたのでまた船に戻ります。危ない危ない。

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やがて本当のスオメンリンナ島に到着します。5月のヘルシンキ、どこもかしこも、タンポポが満開です。

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カラスが丸いものをくわえて飛んできて、河原に降り立って、つついているので覗き込むと、玉子(普通の、ニワトリの玉子と同じ大きさ)の殻でした。中身は無かったけれど、 血筋がついていたので、きっと雛を食べたんだなと観察します。かもめの玉子かも知れない。かもめだらけだから。

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 よくわからない葉っぱ、一枚が巻くように開いているタイプなので写真を撮ります。

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お土産屋さんにある、ロッカーの鍵かわいい!!木のボールに紐がついていました。

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外壁工事中。工事のひとたちの作業着も、おしゃれだしとても良く目立つ蛍光色です。ゆったりと景色を見たり、同僚に声をかけて笑ったりしながら働いていました。

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島中を散歩して、私は離れたベンチを見つけた。ここは私の場所だ!レストランやカフェを散策していたTPに手を振って、呼び寄せます。「いい場所見つけたやん」「やろ?最高やろ。やっぱり、ひとがおらんのって最高!」「・・・もっと、がんばるわ。がんばって予定立てよう」どうしてそういうことになったのか良くわからない会話を交わして、海辺で、誰も通らないところで、ゆーっっくりとします。

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よくわからない鳥もいっぱい寄ってきて。今日は、サウナを予約したから、そろそろ戻りましょう。フェリー乗り場でチケットを見せようとすると、どうも乗ってきたフェリーとは違う、5ユーロでぎゅうぎゅう詰めの船です。おかしいな?と看板などをよく見てみたところ、私たちは私設のフェリー、こちらの安いフェリーは国鉄のフェリーみたいな感じだということがわかりました。ということは、トラムも電車もバスも乗り放題のチケットを買えば、このフェリーにも乗れたのか?と疑問が湧いてきて、また私設フェリーに乗って市街に戻って、あらためてチケットの自動販売機で1日券、2日券の値段を出して、私のメモ帳で計算したところ、明日、空港まで戻る電車、これからサウナまで移動するトラムとバス、全て計算すると、2日券を買った方が圧倒的に安い(10ユーロ以上お得)ということが判明します。あー、今まで何やってたんだー!ヘルシンキで乗り物に乗って観光するなら、速攻で1日券とか2日券を買うこと。教訓です。

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こないだサーモンスープを食べたオールドマーケットで、今度は別の店で、チリコンカン9.5ユーロ。TPはサーモンサンド5ユーロと、7ユーロのバインミーを買っています。

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サウナまで時間があったので、2日券でリクさんちの近くの岩の教会へ。リクさんたちも子どもの頃からここに通っているそう。

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またトラムに乗って。

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トラムを乗り継いで、またバスに乗って、予約したサウナ「ロウリュ」へ。トラムもバスも、中央駅前の路線図でじーーっと観察してから乗り込むと、だんだんと地理感が出てきて、どこへだって行ける自信がでてきます。サウナの受付では、予約をしていなくて断られるひとたちが次々と、でもどういうわけか、受付のひとたちはとても自然で、軽い感じで「予約でいっぱいなの」みたいな感じ、今までヘルシンキで訪れたどこの場所でも、同じように軽さのある対応を受けていることをあらためて思い返します。この軽さを忘れずに持ち帰りたい。

16時の、サウナの開店時間と同時に入館したので、まだお客さんはポツポツです。今日も水着に着替えて、シャワー室でTPと待ち合わせて、まずは薪のサウナに入ります。係のおじさんが入ってきて「水をかけるぞー、準備はいいかい?」と石に、ジャーッと水をかけると一氣に熱風が。私は日本の銭湯のサウナのように、持参していた手ぬぐいで顔を覆います。どうやら他のお客さんの会話を聞いていると、アメリカ人、イギリス人、ドイツ人、日本からの留学生みたい。私が手ぬぐいで顔を覆っているのを見て、とてもうらやましそうに(そう見えた)、熱々の蒸氣から顔を手で覆って、誰もが苦しそうにしています。(フィンランドで、手ぬぐいを売る商売を始めたらどうか知らん?暮らして行けるか?そもそも、手ぬぐいをどこから仕入れる?かまわぬ?)

身体が温まったので、海岸に出ます。テラスから木のハシゴを降りて、海水に足をつけると、ヒヤッ!とても無理、みたいな温度。それでも、冷たいことを無かったかのようにゆっくりと身体を沈めてみます。藻がいっぱい。ハシゴから手を離して、犬かきしてみます。冷たくて脳天まで冷える、これは死ぬかも知れない、あわてて犬かきでハシゴまで戻ります。1メートルしか泳げなかったけれど、これは死ぬかも知れないから犬かきを止めようと思って、ハシゴを上がって、テラスに戻ってみると。

 

これまで感じたことのないほどの(おとといもサウナに入ったのに、それとはまた違う、身体の中心からの)開放感、視界がくっきりして、寒くもなく暑くもなく、胸の底からいっぱい空氣を吸えている感覚、満たされていて、自由で、観光客とかバーのひとたちがちらっと見ていても全く氣にならない、すさまじいほどの開放を感じます。

 

最高!とTPに言うと、TPもハシゴを降りて「冷たっ、やばい」一度目は足だけ、またサウナに入って今度は全身、少しだけ犬かきをして上がってきました。どういう仕組だろう、日本のサウナと水風呂ともまた違う、薪の煙が身体に入ってきて、チューニングしてくれるような感覚。他の旅行者のひとたちとも、海水冷たい?冷たいけど入ってみたら最高ですよ、みたいな会話を交わします。

 

40分ほど、入ったり出たりを繰り返して、またバスに乗って、オリオン座へ。カウリスマキが子どもの頃から通っていた映画館、今は名作や少し前の映画を流す二番館になっているそう。リクさんとの会話でも、オリオンに行くと言うと「あそこは子どもの頃から通っていたけれど、この頃は最新作の映画館しか行ってないなー」と教えてもらったっけ。何より、今日は家主不在なので夜の8時からの映画を観ます。フィンランドの映画監督ということだけは、予定表でわかったけれどどんな映画だろう?

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受付で、セパレートかトゥゲザーかと聞かれて、ん?どっちがいい?と聞き返すと、どっちでも、あなたたち次第みたいなことを英語で返されたので、トゥゲザーで、と答えます。ひとり8ユーロ。

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トイレのシンプルさ。ロビーに戻るとTPが「あの女の人、有名人みたい。映画館のひとがDVD持ってサインしてもらって、他のお客さんもサインもらいよった」どなたかわからないひとだったけれど、とっても素敵な白髪の女性です。お客さんは30人くらい。映画館に入るとき、受付でセパレートかトゥゲザーか尋ねられたくらいだから席が決まっているのかと思って、どこに座ったら良いのかと尋ねると、どこでもいいわよ、エニウェアー、フリーと言うので少し後ろの方へ。

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やがて映画は始まって。20年以上前の映画らしい、夜の湖に浮いた花と、女性のナレーションで始まる幻想的な映画「Suolaista ja makeaa」これがタイトルなのかどうかもわからないけれど、とにかく元氣な女の子(という設定だけれど実際は30歳くらいに見える)が、好きなひとを他の女のひとから奪ったけれど、その男の愛も信じられないのか、お互いに嫉妬させるような行動を繰り返して・・・。まず、20年前のフィンランドが、とてもアメリカにあこがれているように思えます。今のヘルシンキはどこもかしこも洗練されていて、何を見ても、どんなものも安定したデザイン。それが映画の中ではわざとダサいもの、わざと奇天烈なデザインがあれこれ出てきて、胸を打たれます。

ふと横を見るとTPが白目を剥いています。今日もあちこち散歩して散策して、くたびれたもんね。

それほど長い映画じゃないのに、一日の疲れからか私も白目を剥きそうになったころ、やっと映画が終わりました。すると、何とまあ、少し予想していたけれどやっぱり、まさかの舞台挨拶が始まります。ロビーでサインを求められていた女性が監督らしい、そして主演女優のひと(白髪になった今でも、輝いていた)、友だち役っぽいひと、脚本家役っぽいひと、脇役っぽいひとたちが、フィンランド語で、質疑応答まで、少しだけ後ろの席のアジア人をチラチラと見ながらどんどん舞台挨拶は進んで行きます。私はもし当てられたら「私はカウリスマキ監督のビッグファンです。今日はたまたま映画を観に来たら、このような作品と出会えたことに感謝します。フィンランド語はわからなくても、男女の駆け引きは世界共通、女のひとの強さはどこも一緒だなと思いました」と、つたない英語を頭の中で組み立てます。

まさかそんな場面もなく、普通に舞台挨拶は終わって、時間がきたので観客たちは退場しました。

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オリオンの隣りのトルコ料理屋?で、肉らしきものの薄切りの乗った定食を食べます。1100円くらい。ここでも、セパレートかトゥゲザーかと尋ねられて、ハタと、これはお会計を一緒に払うか別々に払うかという意味なんだな!と目が覚めたような思い。これまでの会計でそういう質問をされた記憶が無いので、フィンランドのひとたちはもしかすると、オランダとか日本とかと似ている、お金に対して堅実なタイプなのかもな、とか思います。

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映画館オリオンの隣りのトルコ料理屋?のトイレは、とっても清潔です。

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そして2回めの、カフェモスクワ。今観てきた映画の感想をゆっくり喋りながら。

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カフェモスクワの奥のビリヤード場。アキ・カウリスマキ映画にも出てくるらしい。

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もう今日は、家主も不在だし何時に帰ったっていいのだから。

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夜の11時前だと言うのに、まだまだ明るくて。誰もいないアパートで、洗濯機を回します。またTPはシャワーも浴びずに眠ってしまいました。アパートを出て、階段を降りて、携帯灰皿片手に路上で一服します。リクさんちのアパートの前のトラム乗り場を眺めていると、20代の女性が、ベンチに座っている白髪でお風呂に入っていないようで、身なりのボロボロな男性に「アールマー」みたいな掛け声をかけて近づき、ギューっと抱きついて、そのまま声を上げて泣き始めました。おいおいと泣き続ける女の子、どうして何年も連絡くれなかったの、みたいな雰囲氣で、お父さん(だと私が決め込んでいる男性)は、ただ娘に抱かれて、その涙を受け止めて、本当に申し訳なさそうにただ抱きしめられているだけ、やがて男性も涙をぬぐいながら「行方不明になってごめん、俺もどうしたら良いのかわからなくなって、死にたくて」みたいなこと(と私が決めつけている会話)をして、やがて父と娘はベンチで横並びに座って、肩を寄せ合い続けています。

 

すごい場面に出くわしたな。私も大人になってからは一度だけ、父にすがって号泣したことがあるので、同じ氣持ちだと思います。誰かに、全力でただ涙を受け止めてほしい、そんな感じの泣き方でした。音信不通のお父さんと出会えて良かったね、心からそう思いながら、家主のいないアパートに戻ります。

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 TPはまたしてもぐうぐう眠っています。今日が最後の民泊。誰もいなくてよかったね、今日までおつかれさま、行きたくないと言ったフィンランドにつれてきてくれて本当にありがとうと心で語りかけながら、冷蔵庫からとっておきの缶ビールを出してきて、ひとりでグビッと飲んで、うっとりしながら布団に入りました。民泊サイトでは清潔ってあったけれど、私はここに来てから足を何かしらかの虫に噛まれて、痒いなーとか思いながら。日本に帰ったら、どうやって過ごそうかな、この土地のひとたちみたいに春を喜んで、どこでも芝生があったら寝転んで、もっと自然にひとと接することができたらいいな、できそうな氣がするな、とか考えながら。